おにてん工房

大本営霧散につき已む無く転進

四つ仮名に幻惑されてのアームホイップ

非常に重要なことに気付いてしまった……緊急事態である。
というのも、どうやら「稲妻」の読みは「いなずま」であり、本ブログスタッフの環境では「いなづま」では変換されぬのだ。
つまり、本ブログにおいてのこれまでの「イナヅマ」は誤表記……というお恥ずかしい可能性が浮上したのである。

いやしかし君、確か海上自衛隊には「いなづま」という艦があった気がしないか?
……と、またしても突発的な好奇心にあっさりと支配されてしまった本ブログスタッフは、
早速「いなずま」と「いなづま」について調べてみることにしたのであった。

さて結論から言えば、昭和61年7月に定められた現代仮名遣いにより、
稲妻は「いなずま」と書くことを本則とした、ということのようだ。

抜き出して少し詳しく書くと、同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」、そして二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」は、
表記の慣習を尊重しそのまま使用(例:「ちぢむ(縮む)」「つづく(続く)」)。
そして、現代語の意識において一般的に二語に分解しにくい「いなずま(稲妻)」や「かたず(固唾)」といった語において、
「じ」「ず」を用いて書くことを本則と定められたということである(例外もあるが、気になった君は調べてみるべし)。

しかし、今回の好奇心の入り口である「稲妻」においては、「いなずま」表記を本則とするというだけであり、
「いなづま」と書くことも間違いではないようだ。
つまり、「稲」と「妻」の二語とみなして考えるならば、現代において「いなづま」表記を使用してもなんら問題なし……
晴れて本ブログの「イナヅマ」表記が決して誤表記ではないということが判明したというわけある。


なるほど、ラリアートラリアットと呼ばれるようになったように、何事も時代と共に変化していくのだな……と、
またしても無意味にプロレスと重ね合わせようとするいつもの悪い癖がひょっこり顔を覗かせたが、
こと稲妻レッグに関しては、本ブログにおいてこれまで「ラリアット」「ラリアート」と表記がまちまちだったような気がしてきた。

ふと気になりプロレスゲームでの表記を確認してみると、
闘魂烈伝やレッスルキングダムといったユークス製のものは「稲妻レッグラリアット」、
そしてご存知ファイプロにおいては「稲妻レッグラリアート」であった。

恐らくは「いなずま」と「いなづま」のようにどちらでも問題ないのであろうが、
本ブログにおいては技の開発者であり随一の使い手であった木村健吾氏本人の発音するそれを正式名称と見なし、
今後「稲妻レッグラリアート」に表記を統一することに決めた。
そして、事の発端である「稲妻」の読みにおいても「イナヅマ」で通させていただこう。

ちなみに「稲妻」の語源を調べてみたところ、元来「稲の夫(つま)」の意味で、
現代では「つま」という語に「妻」が用いられる為に「稲妻」になった、と考えられているようだ(語源由来辞典参照)。
また、稲妻と雷の違いは、語源的に考えて「稲妻」が「光」で「雷」が「音」ということである。
さらに突っ込んで書けば、「雷」は音を含めた放電現象全てを意味し、「稲妻」はその放電によって起こる光のみを差す。


古館伊知郎が「雷(いかづち)」ではなく「稲妻」と思わず口走った、木村健吾のレッグラリアート
それは、相手を力で薙ぎ倒すような不恰好なラリアットとは一線を画す、
閃光の如く相手の胸元を……時には喉元をその左脚で切り裂く、まさに「稲妻」と形容するしかない美技。

差し詰め、件の凶器をサポーターに忍ばせたあのレッグラリアート……
アレはある意味「雷(いかづち)レッグラリアート」だったのかもしれない。