おにてん工房

大本営霧散につき已む無く転進

断崖式レトロゲー談義 第十二回 - 1年ぶり3度目

さて今回は、前回に引き続きあの人気シリーズからの一作を紹介させていただこう。

引退試合がどれも華々しいわけではない。
だがしかし、これほどに愛されたシリーズの最後を飾るのがこんなモンでいいのか!

10.9 画像追加

ありがとうファイプロ、さようならファイプロ
今回はファイナルバウトやファイナルファイヤーのような引退仄めかしではなく、
公式に明言された紛う事なき最終作。

その出来映えは、はたして有終の美を飾れているのか否か




ファイプロに求められるモードは一通り揃っており、シリーズ最終作としての意気込みは感じられる。
リネームし、隠しレスラーをアンロックし、エディットポイントの上限を上げる……
という伝統の作業は、本作でも健在だ




デスマッチや総合の試合形式は、ワンナイトマッチにひとまとめ。
大日本の躍進の影響を受けたか、デスマッチでは凶器に蛍光灯も登場するぞ




氷川率いるスーパーノヴァに合流することなく、オリーヴへと留まった冷酷医師。
もし仮に彼が緑のリングに上がっていたならば……と、毎度ながら酷い妄想に浸ってみたり。

さて収録レスラーであるが、残念なことに本作よりWFWやらのレスラーが団体丸ごと削除されてしまっている。
恐らくは権利に煩い(今にして思えば至極当然だが)あちらに気づかれてしまったのだろうと思われるが、
削除されたレスラーの頭部パーツ及び技はちゃっかり収録されているので、復刻することは可能である




女子レスラーはファイプロDに引き続きデフォルトで収録。
私としてはSFCにて発売されたファイプロ子路線での新作が見たかったが、
需要を鑑みればこれでも健闘したと言えるか




入場シーンは専用の歩行モーションで演出。
せっかくならば数通りのモーションがほしかったのう




凶器攻撃には小・中・大と3通りのモーションが用意された。
強力な攻撃手段だが、スタミナの消費が激しいので多用は禁物だ




ファイプロDより追加された総合格闘技的攻防は、ファイプロのシステムに違和感なく溶け込んでいる。
「シュートを超えたものがプロレス」を、君の手で体現してやるのだ




しかしアレだ、本作はファイプロDから劣化した部分があまりに多すぎる。
歓声をはじめとするSEの貧弱化、エッジのちらつきの激しい映像、そして極め付きはレスラーのアスペクト比率。
ご覧のとおり、Dと比較し妙に縦に潰れて見えるレスラーだが……


ダウンして横になった際のみDと同等のサイズになってしまう大惨事。
ひと目で分かる違和感をそのまま放置という手抜き移植っぷりに、思わずヒップダウン……
これが最終作でいいのかテメーコノヤロー!




やればやるほど悪い点ばかり目につくファイプロZ……よい点は限定版の付属品だけなのか。
否。
本作には本作ならではの目玉、ファイプロG以来のストーリーモードがあるではないか!
どれ、久々にプレイしてみるとしよう。

む、日本を代表する4人のレスラーに混じってディック・ロードのストーリー……?
んムフフ、あの日君もそう勘違いした筈




モデルレスラーをぼかす気配が微塵も感じられぬテキスト群。
ハッキリ言っていい時代だったよね




デビュー戦を奮闘する赤パン氷川。
このモードでは、モデルとなったレスラーの半生を体験することができるのだ




試合結果や選んだ選択肢により、歴史の if に突入することも。
二代目パンサーとなることを躊躇った氷川が辿る運命とは……




いや、たしかにそんなイメージはあるが、このテキストはあんまりだろう。
ファイプロならば何をやっても許されるのか!




史実どおり風間とタッグを結成し、打倒氷川を標榜する相模。
それに対抗すべく氷川が選んだタッグパートナーは、公私共に親密な仲である富樫であった




司馬さんとトミーがこの世を去り、オリーヴの社長へと就任した氷川であったが、
このままでは自身の思い描く理想のプロレスを展開できぬと判断し、退団を決意する。

自分が抜けてもオリーヴを支える者が必要だと考えた氷川は、
自身を慕い追随しようとする富樫らをなだめ、オリーヴに留まるよう説き伏せる。
こうして氷川は、第二の故郷であるオリーヴに単身別れを告げ、フリーのレスラーとして新たな道を歩むのであった。

さらば、オリーヴジャパン。
イメージカラーを青へと一新した氷川の闘いが、今、はじまる!


久々にプレイした氷川のストーリーモードは、このような結末を迎えた。
いやはや、内容をすっかり忘れてしまっていた為か、存分に楽しむことができたぞオイ。
なお、本モードには隠しシナリオも2本用意されているので、君も久々に引っ張り出してみては如何か




しかしまぁアレだ、ハッキリ言って本作は駄作だ。
多くのプロレス者に愛されたファイプロの最終作がこんな仕上がりなんて、あまりにも悲惨すぎる。
ただ、その思いは他ならぬ開発チームにもあったらしく……と、この続きはまた別の機会にて語らせていただこう。


おまけ: 画像追加


ファイプロシリーズ唯一と思われる、屋外の会場。
見よ、この味のある入場シーンを




野趣溢れる売店の様子も細かく描写されている。
残念なのは、場外戦の移動可能範囲が狭く、
せっかくの屋外会場というシチュエーションが活かされていないことである




試合が始まってしまえば他の会場と大差なし。
精々場外の床テクスチャが砂利に挿げ変わっている程度なのであった。
とはいえ、地面に直接DDT!なぞと想像しつつのプレイは、それはそれで楽しいモンだ、ウン




今回はこれにておしまい。
次回更新にて、また会おう。