おにてん工房

大本営霧散につき已む無く転進

生きるために、殺す。

 This is a brutal blood sport

 開発中はそのタイトルと数枚のスクリーンショットしか公開されず、否が応にも期待が高まった本作。ストーリー上殺害を行わなければ自分が殺られる……という残忍な内容のソフトだけに、国内コンシューマでの登場は絶望的だろう。

 そんな内容ではあるが、残虐性を売りにしただけの羊頭狗肉な作品ではなく、しっかりと内容の伴ったステルスアクションとなっている。

 今回紹介させていただくタイトルは、あのGTAシリーズのROCK STAR GAMESによる作品……

MANHUNT(Play Station2)


#続きにはゲーム中のスクリーンショットもあります。
グロいので閲覧注意!
 プレイヤーが操るのは死刑囚である主人公キャッシュ。冒頭からいきなり処刑シーンだ。しかし、キャッシュは処刑されずに密かに生かされることとなる。「スナッフムービー撮影の協力」という強制的な条件のもとに……。

 まずスナッフムービーというものについて説明しておこう。これは実際に殺害の現場を収めたフィルムのことであり、そのフィルム作成のためだけに殺害するケースもあるという。なんともイヤなものであり、実際にそういったビデオが存在しているのは気分の悪い話だ。


 さて本ソフト、北米ではPS2Xbox・PCとマルチな展開を行っており、人気も上々のようである。私が購入しプレイしたのはPS2版。発売時期が一番早かったということと、当時はPS2以外の発売予定がなかったのがその理由だ。



 基本画面はプレイヤーの見える、いわゆるTPS。少しもったりした操作性だが、慣れれば問題ないレベル。適切なキーアサインがされており、操作自体は非常にスムーズに行える。左スティックで自由に動き回るメタルギアソリッド等と同じタイプの操作体型。視点は自動追従のカメラによって行われるのだが、どうせなら右スティックで自由に動かさせて欲しかった。

 見所はなんといっても武器ごとに複数種類用意された殺害ムービーだろう。ほとんどの武器(銃火器を除く)は3種類の殺害ムービーが用意されており、敵に気付かれずに背後から接近し、攻撃ボタンを押すことでそれらを楽しむことが出来る。その際にボタンを押しっぱなす時間の長さによりターゲットマークのカラーが変化し、白>黄色>赤の順に残酷な殺し方をするのだ。エグイ映像が見れるだけでなく、ステージクリア時のスコアにも影響してくるので、出来るだけ赤になるまで粘って殺していくのが理想的である。
 この殺害シーンはモーションキャプチャー技術を使用しているらしく、非常に生々しい。映像が乱れたビデオカメラ視点になる演出もいいスパイスになっており、不謹慎ではあるが新しい武器を入手する毎にワクワクしてしまう。



 実際にひとつ連続スクリーンショットを用意。これはバット装備時にターゲットマークが赤になるまで押しっぱなしたもの。


 まず背後からバットで首を絞め、相手をぐったりとさせる。跪きふらふらになったところでバットをゆっくりとバックスイングし、躊躇なく頭部をスマッシュ。相手が悪党といえど目を背けたくなる(人によってはヒャッホォ!な場面)凄惨なシーン。




 まるでスイカよろしく砕ける頭。

 砕けた破片と脳漿が飛散し、ビチャビチャ……と壁に付着する。この辺りの処理は非常にこだわっており、流石といえよう。
 ムービー後は通常のプレイ画面に戻るので、他の敵に死体が発見されないよう、担いで運び隠蔽。スプリンターセルヒットマン、シーフなどをプレイしたことのある方にはお馴染みの行動だ。ちなみに脳漿や血液を拭き取ることは出来ないのだが、敵もそこまでは見てないようなので安心していいだろう。


 こういった残酷極まりないムービーだけがこのソフトの魅力ではない。見付かってしまった際の敵との格闘では弱・強攻撃、そしてコンボの概念も導入されており、やや単調ではあるが肉弾戦が楽しめる。言うまでもないが敵が複数の場合勝ち目は薄いので、ひとまず逃走するのが賢い選択だ。

 銃火器を使用したときはまた違ったゲーム性を持っている。障害物に隠れつつ行う銃撃戦は従来のTPSと比較してかなり練りこまれており、単調さを消すことに成功している。この画期的な銃撃戦システムは、のちに同社の発売した「GTA:SanAndreas」に少々劣化しながらもフィードバックされた。


 基本的には既存のステルスアクションを踏襲しており、シーフやスプリンターセルのように暗闇がセーフティゾーンとしての役割を担っている。現実的なレベルデザインの為、立体的な構造はあまり見受けられない。よって一本道になりがちなのが難点ではあるが、マップ自体は広く作られているものが多く、窮屈に感じることは少ないだろう。ステージ数も多く、またステージ毎に使用出来る武器の種類も違うので、この手のゲームが好きなタフガイならきっとエンディングまで楽しくプレイ出来る筈だ。

 洋ゲー独特の高難易度に悩まされる方もいるだろうが、本作は難易度調整可能。良識あるタフゲーマーは是非触れてみてほしい。はじめは物足りなく感じるかもしれないが、その世界観にハマリはじめたら…もう後戻りは出来ない。

 次々と危険な場所に連行され、スナッフムービーの実行犯として人間を殺し続けるしか生きる術のないキャッシュ。君がタフガイを自称するなら、衝撃のラストまでプレイするのが義務だ!