おにてん工房

大本営霧散につき已む無く転進

Heavy Metal will never die

設定をあれこれと変更しつつ、アスペクト比16:9でのエンコードテストを繰り返すこと数回……
ようやく以って、なんとか見れる程度の画質に漕ぎ着けることができたぞオイ。

今回のテストに使用したソフトは、
私の所持するソフト群の中でも指折りのお気に入りである "Brütal Legend" 。
む、この珠玉の傑作を知らぬと申すか。
そうか知らぬか……ならば仕方なし、私が布教するしかあるまい。

というわけで、今回はメタル者御用達のオープンワールドアクション
Brütal Legendのレビュー的ななにかを書き流してみよう。


さて、まずは冒頭の簡単なあらすじから。

ミクスチャーの波に呑まれた、陳腐なサウンドを垂れ流す下衆バンド "Kabbage Boy"。
そんなKabbageの裏方を支える、むさ苦しい風貌の男がいた。
彼の名はエディ・リグス。
今日のメタルの衰退を憂う、本作の主人公である。

ある日エディがいつものようにローディとしてKabbage Boyのライヴを見守っていたところ、
調子に乗り腐ったバンドメンバーの一人が高所から落下。
ダッシュ一番、落ちてきたギターとメンバーをしっかりと受け止めたエディであったが、
その直後崩落したステージの下敷きとなり、その命を落としてしまう。

騒然とする会場の中、エディの屍から流れ落ちる血。
その血は、炎の魔獣 "オーマゴーデン" を模ったベルトのバックルを伝い、
さながら魔獣が血を吐くかのような姿となり……


▼現代のメタル風刺からはじまる物語
 ステージの床を突き破り突如出現した炎の魔獣は、その咆哮でKabbageの面々をゴミのように殺害。
 エディをステージ最上段に祭り上げ、聴衆に向かい炎を噴き上げつつ猛り狂うのであった。

 ふと見知らぬ世界で目覚めるエディ。
 どうやらそこはデヴィキュラスという魔の者の支配する世界らしく、
 僅かに残された人類は滅亡の危機に瀕していたのであった。
 へヴィメタルが過去の伝説となり風化してしまったこの地で、メタルを叫び道を切り開いていくエディ。 
 はたして彼はローディとして軍を纏め上げ、この奇妙な世界を救うことができるのか――


 ざっくりと書くとような感じだが、オープニングの流れはこれ以上ないくらいに完璧。
 現代に蔓延るミクスチャーメタルを間接的に扱き下ろした形での刺激的な幕開けは、
 純粋なメタル者の荒んだ心を十二分に潤してくれるだろう。

 いや、私自身はミクスチャーはそう嫌いでもないのであるが、この冒頭の楽曲は本当に酷い。
 恐らくは、この物語の流れを正当化するべくあえて酷い曲を用意したのだろうが、
 それにしても映像含めてよくぞここまで苛立たしく仕上げたものである。



キャラクタデザインからカメラワークまで悪意の塊。
このような輩が「お前らにメタルってモンを見せてやるぜ!」なんてMCをするのだ、苛立ちは最高潮である




この表情。
余談であるが、主人公エディの声を担当しているのはオープニングにも実写で登場するジャック・ブラック
声だけでなく、その顔にもジャックの面影が見て取れるか




エディの死に呼応するかの如く現れた炎の魔獣オーマゴーデン。
エディと魔獣の関係は、物語が進むにつれ明らかとなる




ひと吼えで文字どおり吹っ飛ぶKabbage Boyどもの首。
凄惨なシーンながら、思わず掲げるメロイックサイン




▼全方位へヴィメタル
 プレイを開始してまず息を呑むのが、何処を切ってもメタルな凄まじいオープンワールド
 メタルの全てを肯定する世界が、そこには広がっているのだ。

 鋼鉄全開な絶景の中を、極上の重金属サウンドと共にホットロッドで駆け抜ける。
 これ以上何を望むというのか。



世界に点在する古の石碑に刻まれた紋様は、よく見りゃギターのタブ譜であった。
これを発見する毎に、エディは様々な能力を身につけていく。
ちなみにこの譜面は、クルマをいつでも呼び出せる便利なギターソロ




荒野のサボテンひとつ取ってもこんな感じ。
あらゆるオブジェがエグゾーストパイプやプラグコードといった感じにメタライズされているのだ。
なんだってこんな形状なのだ!といった疑問にも、それなりの回答が用意されているぞ




物語が進行するにつれ、行動可能範囲は広がっていく。
その景色はファンタジー風から雪原、ゴシックにジャングルとバラエティは実に豊か。
また、広大なオープンワールドには新たな楽曲の開放をはじめとするいくつかの蒐集要素がある為、
飽くことなく隅々まで探索を楽しめるのだ





徹底したメタライズは風景だけに留まらない。
見よ、登場キャラクタに至るまでまでご覧のありさまである。
おまけに吹き替えまでも本人によるもの!




物語序盤にレジスタンスに加わる鋼鉄のヒーラー、キルミスター……ではなくキルマスター。
彼の奏でる図太い重低音は、周囲の仲間の体力を回復させる力があるのだ。
この御二方の他、ロブ・ハルフォード(二役で声を担当!)とリタ・フォードも登場するぞ



▼アクションだけに留まらないゲーム性
 序盤こそ物理の斧に魔法のギターで戦うシンプルなアクションゲームだが、そのゲーム性は徐々に複雑化する。
 はじめは分隊レベルの仲間に指示を出す程度だが、その内自軍ステージを構えてのRTS風戦闘となり、
 仕舞いには両軍がステージを構え、どちらかのステージが崩壊するまで続く、
 大掛かりなRTS+アクションバトルへと発展するのだ。

 ステージバトルともなると、大軍同士がぶつかり合う中ユニット生産に各ユニットへの指示、
 アクションで敵を蹴散らしつつ適所でギターソロ……
 と、こうして文字に書き起こすだけでも忙しすぎるのが伝わるだろう。
 
 このRTSブレンドした風変わりなゲーム性に、発売当時は賛否両論巻き起こる事態となったが、
 実際プレイしてみればなかなかどうして、白熱の一進一退を楽しめる見事な仕上がり。
 ただ、純粋なアクションのみのボス戦ももう少し楽しませてほしかった……というのが正直なところか。



拠点を確保し、ギターソロで自軍のショップへと改装すれば、ファンの魂がステージへと転送されるようになる。
こうして集まったファンが、ユニット生産のリソースとなるのだ




即戦力もほしいが、生産できるユニットの種類が増えるステージアップグレードも重要。
ファンの数と戦況を見極めつつ、最良の一手を打つのだ




空高く舞い上がり、敵の進軍状況をチェック。
激しい拠点争奪戦が繰り広げられる




マルチプレイヤーモードでは全3軍の中から選択してプレイ可能。
あの憎きデヴィキュラス率いるテインテッドコイルでも遊べるぞ。

ちなみに、海外のプレイヤーとのマルチはラグが酷すぎて断念。
まぁアレだ、ソロでもAIバトルを楽しめる分だけマシであろう




デヴィキュラスの奏でるはフライングVではなく、悪魔的デザインのクアッドギター。
見た目のみならず、音色もデヴィリッシュ!




各軍毎にユニットの役割が異なる為、それぞれに見合った戦術が必要となる。
例えばテインテッドコイルの場合、ユニットから別ユニットを産み出すことができる為、
エディ率いるアイアンヘッド軍とはまた違ったアプローチが可能となっているのだ





エンコードテスト用に録画したフリーロームの様子。
適当なプレイだが、本作独特の雰囲気は伝わるか




中盤の山場となるドライビングミッション "It's Raining Death"。
お馴染みDragonForceのアレがジャストフィットした、ハイテンションの脱出劇!




鋼鉄の世界の完璧なる具現化をはたしたBrütal Legend。
もし君がメタル者の脳内を知りたくば、本作をプレイしてみるといい。
そこに広がる風景が、それだ。