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"引退の10カウント"

そんなテロップと共に、リング中央に立つハヤブサへの10カウントゴングがホールに鳴り響いた。
多数のレジェンド、そしてゆかりあるレスラーに囲まれての引退式とはいえ、どこか歪さを感じさせる光景。
昨年「5年後に復帰します」と力強く宣言したハヤブサが、こんな中途半端なタイミングで引退する筈がない。

この式典は、このチャリティ番組主導の下、都合よく真意が歪められてるのではないか。
なんだか妙に割り切れぬ、もやもやの残る映像であったが、
少なくとも藤波、天龍、小橋らの神妙な表情、そして10カウントを打つ人生の顔は、作り物には見えなかった。

ハヤブサ自身は、引退ではなくリスタートだと語ったこの10カウント。
「開脚リングインで復帰してみせる」
そう締め括った彼のマスク越しの瞳は、諦めとは無縁の不死鳥の如き光を宿していた。