おにてん工房

大本営霧散につき已む無く転進

断崖式レトロゲー談義 第六回 - 明るく、楽しく、激しく 後編

さて君、本日は "明るく、楽しく、激しく" の後編をお届けしよう。
今回の記事は「全日本プロレス 王者の魂」のエディット関連について掘り下げた内容となっているので、
興味のある君もない君も、ひとつ読み流していっては如何か。



レスラーエディットに入るとまず表示されるのがこの画面。
賢明な諸兄姉ならばこの画像を見ただけでお気づきかもしれぬが、
お察しのとおり自由度はほぼないに等しい残念な仕上がりである




五冠王の軌跡をクリアすると、多数のボディが追加される。
継承編・飛躍編それぞれに隠しボディが用意されているので、
エディットの全てを堪能するにはまず五冠王の軌跡を遊び尽くす必要があるのだ




ボディカラーなる項目は、各パーツの色を変更する……というものではなく、
全く別のレスラーのボディが潜んでいるというサプライズ。
例えば昇り龍なボディのカラー3には、ヒットマンが隠れていたりするのだ




技装備やロジックは、あらかじめ用意されたセットのものから選択する仕様。
細かく弄ることができないのは残念だが、その分十分に練られた技セットとロジックが用意されているのだ。
ただ、せっかく多数のボディが用意されているというに、この仕様のせいでほぼ使いものにならないのが勿体無い




入場モーションと入場曲も設定し、エディット完了。
体格はS-細からLL-太まで用意されているので、
実際にリングに上げてみてベストだと思えるものをチョイスすればよい




名前と短縮ネームを付けて完成。
弄る箇所が少ない分、1体5分と掛からず仕上げることが可能であるが、
これはエディットモードというよりは隠しレスラー組み立てモードだ、ウン。
変わったエディットを楽しもうと思えど、精々Sサイズの馬場さん作って走り回るのが関の山であろう




さてここからは、エディットモードにて組み立てた隠しレスラーを2体紹介させていただこう。
まず1体目は、その立ち居振る舞い全てが美しい、インディ界の大スター。
入場はなんちゃってFight with Dream IIがカッコイイ上、開脚リングインモーションまで完全再現!




不死鳥ランマル、全日本のリングに立つ!
カラスマスクのデザインが、モデルとなった某レスラーのそれとは異なるが、
試合中には気にならない程度の改変なので問題はない。
というか、むしろ肖像権的にセーフなのか心配してしまうぞオイ




2体目は、紹介せずにはいられないこの男 "冷酷医師" スティール・ジェイムス。
その御尊顔も然ることながら、ボディはもはやウイリアムスそのもののテクスチャである。
偽名ならば何をやっても許されるのかっ!




ここから3体4体と紹介するつもりであったが、予定を大幅に変更し、ウイリアムスの厳選ムーヴ集をお届けしよう。
私が本作を愛してやまない理由が、ここにある。

まずは入場シーン。
コールと共に溜めに溜めた右拳を振り上げた後は、ダックウォークでリングを徘徊。
ここまで再現しているのは本作のみ!




実質続編といえるキングオブコロシアム(以下KOC)では何故か削除されてしまった、ドクター首殺し。
グラウンドのフロントヘッドロックの体勢から倒立し、そこから一気に倒れこんで首を折る厳しい技だ




「突然速くなるんです!」
動きが緩慢になったと見せかけ、突如ぶちかますクロスチョップタックル。
この技もKOCでは削除されてしまった




ボストンクラブは片足両足どちらを抱えるのも得意としていたウイリアムスだが、本作ではこちらが採用されている。
さてこの画像で技以外に注目いただきたいのは、そのシューズの完成度。
王者の魂の時点でここまでできたのに、
故実名参戦をはたしたKOCではフレアパターンのみの無地シューズになってしまったのか。

余談ながら、本作の攻略本ではこの技を「ウイリアムス式逆片エビ固め」と明記。
ジェイムス式じゃないのか!技ならば実名ありなのかオイっ!




カウンターでリフトアップしそのまま叩き落とす、言うならば投げ捨て式のフラップジャック。
稀に頭部から急角度で落とし会場をヒヤリとさせるが、本作ではそこまでは再現されていない。
そして、KOCではこの技も削除されていたのであった




クロスチョップタックルと同類の、 "突然速くなるんです" 攻撃のひとつ、強引な両足タックル。
いきなり両足を掴んで引っこ抜き、叩きつけてエビ固めにする荒技だ。
なお、この技も




せっかくなので、システムにも少々触れておこう。

本作では、多数用意されている自動リバーサルがランダム発動するのも魅力のひとつ。
例えばバックからの投げひとつでも、エルボーで返したり巻き投げで返したり、
そしてニアロープなら掴んでエスケープという凝り様。
この自動リバーサルのおかげで、プレイしても観戦しても毎回新鮮味を感じることができるのだ。

その他、三沢のエクスプロイダー側転回避や川田の垂直落下式パワーボム等、
実に様々な自動リバーサル技が用意されている。
これらは狙って出せないからこそ、突然繰り出された際に思わず「あぁ!(CV: 百田)」と声を上げてしまうのだ




クラッチシステムが素晴らしいのは、
ダウン相手をクラッチしつつ引き起こせることや、多彩な技へシフトできることだけでなく、
クラッチからクラッチへの移行も用意されていることだ。

例えば、ウイリアムスがフルネルソンから小脇に抱え直す……
この動作だけでドキドキできるのは、本作の誇るクラッチシステムならではであろう




ビル・ワット直伝オクラホマスタンピートは、プレリュード2回も再現されたフルバージョンでの収録となっている。
これもKOCでは中途半端になってしもうて……




アピールも数種類用意されている。
こちらはお馴染みトライアングル・オブ・パワーアピールであるが、
手首と指が可動しない本作においてはこれが限界か




イリアムスの代名詞といえば、ドクターボムとこのデンジャラスなバックドロップであろう。
魂を消費しないものは、このように急角度ながらまだ垂直落下の範囲に収まっているが……




魂ボタンで投げれば、額から落とす伝説の殺人バックドロップに!
ハッキリいって、この一撃が全日本の……延いては日本のプロレスの方向性を変えたといっても過言ではない




勿論ホールド版も収録。
ただ、あの93年の8.31を再現するにはどう見積もっても魂ボタンが足りんのう





百聞は一見に如かず……というわけで、動画にてご覧いただこう。
まずは入場シーンから





続いて試合の様子。
名勝負とはいかなかったものの、ウイリアムスの特徴的な技のいくつかを確認できるので、
興味あらば再生してみるべし



おまけ

タイトルマッチモードにジャイアント馬場で挑み、三冠を奪取した際に流れる隠しエンディング。
本作に注がれた愛情の深さを、君にも感じ取ってほしい





王者の魂よ、永遠に……


ふと気づけば殺人医師特集となってしまっていたが、如何だったであろうか。

本記事においてはキングオブコロシアムを半ば糾弾する形となってしまったが、
あのシリーズも素晴らしい完成度であるということは君も知るところであろう。
ただ、全日愛という点においては王者の魂の右に出るものはなし……
そう断言したところで、本日はお開きとさせていただこう。



今回はこれにておしまい。
次回更新にて、また会おう。