おにてん工房

大本営霧散につき已む無く転進

断崖式レトロゲー談義 第十四回 - 箱舟OUT、黒船IN

前作から箱舟の面々がまるごと離脱。
Yuke'sの変化を思えば至極当然な結果であるが、
NOAH勢がいない……というのは、当時のプロレス事情を思えば致命傷レベルの痛手であったに違いない。

その穴を埋めるべく本シリーズの向かった先は、なんと昭和。
そうである、あの激動の時代を肌で感じてきたプロレスファンにアピールしてきたのである。

多数のフリー及びレジェンドレスラーを節操なく詰め込んだ本作は、その収録レスラーだけを見れば垂涎の逸品。
はたしてその出来映えは、如何ほどのものだったのであろうか。



PS2でのみ発売されたレッスルキングダム2。
箱舟の抜けた穴を昭和のレジェンド戦士で埋めはしたが……




スポーツ新聞を模したメニュー画面はお見事。
こういった遊び心、私は大歓迎である




さて、一通り収録されているモードを触ってみるとしよう。
チャンピオンシップモードは、いわゆるタイトルマッチを行う平凡なものなので割愛し、
追記訂正: チャンピオンシップは単にタイトルマッチを行うのみでなく、
    前作のドラマモードの一部を切り取って整えたものになっているので、これはこれで悪くはないぞ

本作の目玉と言えるキャンペーンモードについて紹介させていただこう。
このモードは会場と興行を選択し、成功に導くというものであるが、その内容はなんとも斜め上に凝った仕様




集めたカードでデッキを組み、興行に挑戦。
やたら種類の多いアイテムカードを前に及び腰となるかも知れぬが、いざプレイしてみれば単純なモンである




中にはこんなカードも。
本モードはエディットレスラーも3体まで参戦可能なので、
ここはひとつラジャでもこしらえて、このカードを適用したいところだ




相手の出したカードとの相性で、どちらがアドバンテージを取るかが決まる。
こうして全試合を組んだらいざプレイ、あとは客層に合わせた展開を意識して試合をこなすというわけだ




カードの組み合わせやらでイベントが起こることもなく、
ただフリーファイトを連戦するといった感覚しかないのが残念なキャンペーンモード。
ただ、カードを適用して相手のコンディションを左右することができるというのは本モードならではなので、
そこに価値を見出せればそこそこ楽しめる……ような楽しめないような。

ちなみに画像下部の獲得ポイントは、エディットモードのパーツや技をアンロックするのに使用するポイントである。
なお、エディットモードの関しては、次々回辺りに改めて紹介させていただこう




本作には、プロレスゲー史上最高レベルの充実したチュートリアルが実装されている。
前作以上に複雑化したシステムを、ここでしっかり頭に叩き込むのだ




新システムの中で私が手放しに絶賛したいのが、このスタイルアクション。
前作のチェーンレスリングシステムを進化させた、実にプロレスらしい仕上がりである。
チェーンレスリングは3すくみ勝負、力比べは連打勝負、そして打撃合戦はタイミング勝負と、
それぞれに特色を持たせている点もグレイテスト……18クラブ




前作にも存在した気合ゲージは、最大10個のストック制に変更。
この気合を消費し、様々な特殊なアクションを取ることが可能となっているのだ。
勿論必殺技にも気合が必要となるが、どうにもバープロ臭のしていた本作がついにやっちまった。
そうである、ついに封印技という概念を取り入れてしまったのである




レスラーにはベビー・ヒールという属性に加え、レスラー毎の特殊能力まで設定された。
これにより、よりそのレスラーらしい行動をすることで、試合を有利に進めることができるというわけなのだ




本作の目玉は、実はキャンペーンではなくこちらであろう。
そう断定したいほどに、このスペシャルモードには資料としての価値が詰まっている




リーファイトで特定のレスラーを使用し勝利を収めると、このように特典映像がアンロックされる。
その映像は、スペシャルモードにて閲覧することができるのだ




収録されているのは、撮りおろしのインタビュー動画。
どのインタビューも試合後の飾ったアレではなく、本人の素性の垣間見える貴重な映像ばかり




"参戦レスラーのプロフィール" では、ニックネームや身長体重といった基礎データの他、
レスラー年表や戴冠履歴を見ることができる。
あまり知らないレスラーでも、どういったプロレス人生を歩んだのかを朧気ながらに理解することができるぞ




さて、ここからはよい点悪い点を少々。

私が気に入ったのは、試合中いつでも技表を確認できることだ。
それもフィニッシュだけといった簡素なものでなく、全技を確認できるという優れもの!




オプションでは各種UIの表示切替の他、演出の有無のオンオフが可能となっている。
また、本作ではリングを捉えるカメラ位置まで変更可能となっており、
いわゆるファイプロ視点を楽しむことができるのだ




お世辞にも褒めることはできぬ耳障りなBGMは、オプションで音量を調整することが可能。
だがしかし、ここで音量を0にしてしまうと、なんと入場と勝利後のテーマ曲まで消音されてしまうという大惨事




水増し感は否めぬものの、かなり健闘したと言える隠しレスラー群。
特に "若き日の" シリーズは秀逸で、技構成が変わるのみならず、
武藤ならばHOLD OUT、蝶野にはFantastic Cityといった具合に、入場曲までしっかり用意されているのだ!




最後に出現したのがこの技プレビュー3人衆……なんという脱水牛。
おまけに技名までご覧のありさ





レッスルキングダム2オープニングムービー。
揃いも揃った豪華な面々、ハイテンションで駆け抜ける1分30秒!
このムービーだけならばプロレスゲーTOP3に食い込みそうな勢いだ





こうして見ると、あたかもレッスルキングダム2が傑作かの様に見えてしまうかもしれぬが、勘違いしてはならぬ。
賢明な君ならばもうお気づきであろう……そうである、今回はあえてよい点を前面に押し出して書き流したのである。
ひとつの記事では纏め切れぬその汚点については、次回バクハツッ!



今回はこれにておしまい。
次回更新にて、また会おう。